ダイゴのうなじは確かに酷かった。どこもかしこも血色のいい美しい陶器のような白い肌が、そこだけ焼け焦げてひび割れてしまったかのように、火傷跡がうなじ下から背骨の真ん中あたりまで広がっている。それは間接照明の明るさで際立っていた。
「んッ……ん、……んん……」
背骨が浮き彫りになっている背中にキスをすると、びく、とダイゴが震えた。火傷跡をいたわるように。
ほとんど消えかけではあるが、火傷のあとが消えるにはかなり時間がかかる。一生消えない傷だってある。
俺の身体にも、かつての古傷がそのまま残ってしまったものが当たり前のようにある。でも、それはポケモンたちとの思い出だったり、自分の軌跡でもあるから気にしていない。
だけどダイゴのは別だ。彼が一番後ろめたくて、屈辱的な傷。だからこそダイゴは誰にも見せたくなくて、ずっと隠していた。そう思うなら目を瞑って隠してあげたいとは思う。
でも、できるならさらけだして消してやりたい。塗りつぶしてやりたい。
これは、彼にとって必要のない傷だ。
「はッ……」
キスをする。やさしく。火傷跡に。何度も何度も。そうすると、皮膚が敏感な彼は気持ちよさそうに声を上げた。
枕に顔を沈ませているから、どんな顔をしているかは分からない。
不安にさせないように、乳首を引っ掻くと甘い吐息を漏らした。安心させるように体温を分け与え、徐々に下に滑らした指は、彼の性器に触れた。先走りを埋め込むようにぬち、と鈴口を指で潰すと、甲高い声が下からかすかに聞こえてきた。
「ひくひくしてる」
「だ、って……」
お尻に触れて、入口の先を中指で触れると以前よりは柔らかい気がした。それでもまだまだ硬い。
「力を抜いて」
彼の先走りで濡らした中指を、後孔を割くように入れていく。ぬちぬちと粘着質な音を立てながら徐々に埋め込んでいった。
中指で探ると、入れて五センチほどの先で固いものに気づいた。ぐい、と指を曲げて爪で引っ掻く。引っ掻くと、徐々にこりこり固くなっていった。
「うぁッ……」
前立腺だ。ダイゴの気持ちいいところ。優しく撫でると、中がもっと柔らかくなった。汗をかいたのか、少し熱くなった気もする。爪で引っ掻いたり、潰したりするとそのたびに腰が揺れてものたりなさそうだ。
解れた頃合。人差し指と薬指を増やしたときには、短く喘いでいて、その声はひたすらに気持ちよさそうだった。甘い声だ。
ばらばらに解して、ゆっくりと抜くと、中で湿らせた先走りが、俺の指を追いかけるように糸を紡いだ。ぷつ、と切れてダイゴの太ももを濡らす。なまめかしい光景に熱がぐつぐつしてくる。
「入れたら、トロトロだろうね」
「ッ……」
「期待したかい?」
「……興奮した」
ダイゴの身体を仰向けにひっくり返し、腰を掴んで持ち上げる。できた背中とシーツの隙間に枕をひとつ挟むと、ダイゴが安心したように呼吸を繰り返して、薄い腹がかすかに沈んだり膨らんだりする。
自身のものを、一回二回、入れる前の合図として肉に擦る。彼の性器からはとろ、と期待したかのように身体を持ち上げていた。
「息を、やすらげて」
太ももを掴んで左右にゆっくり開かせた。穴を広げ軽く腰を持ち上げたまま、まっすぐ沈ませていく。
「ふっ……、ぅ……ん」
ゆさゆさと、負担のかからないよう解しつつ中から揺さぶっていく。揺さぶりながらどんどん下へ身体を沈ませた。ダイゴが目を瞑って、快感に正直になっていった。
「うー……ん、アッ……ふ……、っ」
間延びした声でダイゴは気持ちよさそうに喘いだ。あくまでリラックスしている。きゅ、きゅ、と中は鼓動と合わせるように締め付けて、開いた足は揺れた。
ギューッと中に収まってる熱を堪能するように喉を鳴らした。
「……ずっしりする……お腹が」
ダイゴが自分のお腹を触った。
「よくおさまっている。前はお互いに余裕が無かったから」
「ぜんぶ、入ってるの? きみのが、ぼくの、ここに」
「確認しようか」
「ぃアッ!!」
そのお腹に当てた手のひらを、上から俺の手を重ねてグッ、と沈ませた。亀頭の位置を教えるようにえぐる。
ダイゴがはっ、はっ、と短く呼吸を繰り返した。瀕死状態前のポケモンだな。
「はは、……お腹の皮膚が破けそうだ」
「お、おぞましいことを!」
「でも分かっただろ? こんなに、深く、ちゃんと、……収まってる」
「うッ……」
ゴツ、と、奥にぶつけるとダイゴが歯を食いしばった。
「気持ちいいところ、たくさん、見つけような」
耳元で囁くと、ダイゴは顔を真っ赤にさせた。
「ぅあッ……アッ……アッ……ッ」
向かい合ったままとんとんと叩くように腰を上下に揺さぶると、そのリズムに合わせてダイゴが喘いだ。が、身体が硬いせいで揺さぶると股の付け根が広がるたび痛いらしく、ときおり苦しそうに見えて俺はいったん動きを止める。
「……、?」
「ダイゴ、後ろ向いて」
ずる、と中から取り出してダイゴを起き上がらせた。かすかに腰にせり上がってきた緩い快感にぽー、としていた彼はよく分からないままに首を傾げた。
「正座に、そのまま、手だけを前に」
「この、体勢すごく恥ずかしい……んだけど」
「いいから、俺の言うとおりに」
おずおずと言われた通りにした彼の腰を掴んで、ぐん、と持ち上げた。
「う、ぇ……!?」
「セックスは、ストレッチだと思えばいい」
腰だけを高くあげることでまるで獣が伸びをするような姿勢にさせる。そのお腹に後ろから手を伸ばしてするする撫でるとダイゴが息を漏らした。
「ここ、お腹の筋、すごく伸びるだろ」
「ぅ……あ……」
「で、呼吸を深く、繰り返すんだ」
そうすると、
「お尻の穴が、ぎゅ、っと開く」
「ッ……!」
「おっと、動かないで。大丈夫、気持ちよくするから」
腰が落ちそうになったのを支え、そして。
「ぁ……ッ」
もう一度、ゆっくりと身体を沈ませていった。中は本当にとろとろになってしまっていた。
とろとろになっているのは、おそらく身体だけではない。
「ダイゴ」
「うっ……ッ……」
「大丈夫だ」
「ッぁ、アッ……!」
「きもちいいだろ」
「……んな、こと、」
空気を含ませるように、中をかき乱すように、律動すればダイゴの声はうわずっていった。
「あ……たりまえのことを……ッ」
その言葉に満足した俺は、振り向いた真っ赤な顔にキスをした。シーツを握りしめる手を上から手で重ねると、汗でしっとりしていた。すっかり外すのを忘れていた指輪が、彼の体温で焼かれて俺の手が焦げそうになる。
それぐらい、熱かった。
俺はきみにとって異質で、それでいて。非日常だから興奮するという事実に今気づいた。
ごち、と、中で先が乱暴にぶつかる感触がしたときダイゴが俺の唇から勢いよく離れた。
「あ……ぁ……」
目が、わなわなして。なにか堪えるようにまた手をぎり、と爪を立ててシーツを握りしめた。
届いたか。
ゴリ、と勢いよく潰すとダイゴの身体がビクンッ!とひときわ跳ねた。だけど、俺が上に密着して乗っかっているせいで逃げられない。
腕の中に閉じ込めるようにぎゅ、とダイゴを抱きしめたまま腰を打ちつけると、せめてもの抵抗なのかかぶりを振った。
「ッ……ぅッ──……!」
顎を掴んでキスをする。キスをすると気持ちよさそうに舌を絡めてきた。舌も、中も、激しく痙攣して。
顔を離すと、すっかり蕩けた顔で俺を見つめていた。見つめてはいるが、焦点はあっていない。おそらく軽くイッている。
「ッ……は、……っむり」
「こわいか」
「こわ、……くはない……け、どッ……ぅアッ!」
もう一度結腸を潰すと、ダイゴが悲鳴のような声を上げた。ゆっくり優しくなだめるように、解すように出し入れを繰り返すと、俺から枕に顔を沈ませたダイゴは、ついに。
「ぅ、うぅ、……うぅ〜〜ッ……ウッ……」
泣きじゃくるような、喘ぎ声をあげる。彼に似つかわしくない。ぼたぼたと、蓋で抑えていたものがとうとう吹きこぼれた。
それは隠しごとの二つめ。ダイゴが触れてほしくない先に、とうとう俺が触れてしまったから。耐えきれなくて本能が叫んだ。
嫌だろうに。嫌だろうけど。それでも、その姿を見て俺は、たまらなく愛おしいと思った。いたいけな姿と形容するにはもったいないぐらい。
もっと見たい。こころからそう思った。
火傷跡がもうどこにあるか分からないぐらい、見下ろしたダイゴの背中は真っ赤だった。焼け焦げたような肌に愛おしさを感じて俺は、触れる程度のキスをする。
その身体を仰向けにひっくり返そうとすると、ダイゴが腕を振り払った。枕にしがみついて、
「みないで」
「綺麗だよ。絶対」
「ッみないで……てば……」
耳を齧った。
「ウッ……!」
その油断で四肢を一気にめくった。ダイゴがギッと睨む。
鋭い目付きなのに、鼻も唇も、顔中が真っ赤で涙でぐちょぐちょだった。
無抵抗だと言っても過言じゃない。煽る姿に、
「かわいいな」
と零す。ダイゴがますます目付きを鋭くした。怒っているな。俺の顔に殴りかかろうとした拳を掴む。反射的に。
「ッ……! ばッ」
「馬鹿にしてない。魅力的さ」
「この流れで言われるのは心外だ」
「知っている」
おもわず口角がにやけてしまった。ますます、きみは不機嫌になる。
「でもこう言えば、きみは動揺してわけがわからなくなるだろ」
満足だ。満足したけど、もっと先に触れてみたくなった。きみのコロコロ変わる表情も。しなやかな強さの中に秘めた俺にしかみせない心も。
もっと、もっと。
「だから、……すべてもう諦めて、俺に委ねて」
のみこみたくなった。
「さらすんだ」
きみの手をするりと撫でる。そのいやらしさに戸惑った彼は、少しだけ身じろいだ。逃がさないよ。
「ここには、きみに纏わりついてきた長い付き合いの視線も、外聞も、なにもなくて」
指の間に指を挟めば、とくん、とくん、と流れる血の音が聞こえてきた。生きている証拠だ。そして、俺のせいで高められた鼓動の音は聞いていくと興奮する。
「きみの愛するポケモンたちも今はいなくて」
言わないで、と、ダイゴがねだる声が聞こえた。実際は組み敷いた下で喘ぎ声しか出せていない。
せっかく、きみを掴んだんだ。きみがようやくさらけはじめたその姿を。
俺が、いま。
他の誰でもない俺の手で、さらけだした。
「俺しか、いないから」
思い出したことは、祝賀会の酒の匂い。そして、フスベでの酒の匂い。きみが俺のなにかに触れたいと思ったように、俺もきみに触れてみたくなった。
ダイゴはその言葉に悔しそうに反撃してきた。
「なら、きみもさらけだしてよ。ここなら、ボクしかいないのだから」
妥協だ。交渉でもある。
「わかったよ」
ダイゴが俺のうなじに手を絡めてくる。誘うような視線は、さっき泣きじゃくったにしては余裕を取り戻していた。
「少しだけな」
「全部だ」
欲張りだな、とキスをした。もっと欲しいんだよ、とダイゴが舌を絡める。
「一気には、はやすぎる」
「せっかちなんだよ。ぼく」
舌先で遊ぶように会話を挟みながらキスを。もっと、深めていく。
「ふ……ッ……」
気持ちよさそうにダイゴがうなじを撫でた。
ちゅ、と唇を喉仏に。汗でしんなりしていた。
「ワタル。えっちってさ、一回目より二回目の方が大事なんだよ、きっと」
愛おしそうな目をして、愛おしそうに告げる。
「……回数を重ねれば重ねるほど、どんどん気持ちよくなる。それができるのは、お互いをよく理解しているからこそ」
「……同感だな」
「試してみない? ぼくたち、相性はとてもいいんだと思う、ん、……ッ」
言葉を続けながら、身体を揺さぶるとダイゴが幸せそうにとろけた。
「もっともっと、気持ちよくなれるかな」
きみを、理解したいからさ。
そう告げる言葉はキスするせいでかき消された。
ダイゴは隠しごとが多いと思う。
それは、出会ったときから感じたことだった。でも彼にとっては、俺も、隠しごとの多い存在だとダイゴが次に話した言葉でようやく分かった。
俺たちは、だから惹かれあったのかもしれない。
「ねぇ……きみは、いつからどこまで、知っていたの?」
頭がぽやけた表情でダイゴが俺にふと聞いた。
「知っていたって……事件のことは、本当に直前だよ。核心についたのは、キンセツシティであの男と対峙したときで」
そういうときみは目を見開いて、そして、気まずそうに目を泳がせた。
「あ、……」
しくった、と言うような顔をして。すかさず頬を両手で挟んだ。何を思った。
「なにか、隠してるな」
「ち、ちが……」
顔を近づけていくと慌ててべり、と引き剥がしてくる。
「もう、もう、吐かせないで。これ以上ぼくから」
真っ赤になった顔を両手で覆い隠した。
「……満足がいくまで吐かせてないが」
「うそ……」
なるほど。ダイゴはもうなにもかも終わった気でいたらしい。
俺は一度中でじ、っとさせていたものをギリギリまで引き抜いた。ダイゴの勘はいい。これからされることにサッと青ざめた。
「ま、まって」
「待たない」
「ッア゛……!!」
一気に沈ませる。するとうなじにかぶりついていた手が爪を立てて、俺の皮膚に傷をつけた。ダイゴがやってしまったことにサァッと顔の血の気が引いていった。ボタ、と血が肩から滑る生暖かさはあるが、気にすることではない。
ないのに、ダイゴが泣きそうな顔になった。
「ご、ごめ……ッ……ぅ、うぁッ」
そんな余裕残さなくていいし、遠慮もしないで欲しい。少し乱暴に前立腺を潰し、奥まで突くと、槍に刺されたような刺激にダイゴが嘔吐いた。
「ッぁ゛、……ッは……ッ……ぅ」
「我慢しない」
「と、……ッ、め……ぁ……うぅッ」
「さらして、きみを。俺の中に」
腰を揺さぶる。ベッドが壊れそうなほど揺れて、ギシギシと音を立てた。
「何度でも言う。逃げられないと思った方がいい」
「ッ……ん……」
今だけは。
いまだけは隠しごとも、秘めごとも。建前もなにもかも忘れて、俺の腕の中でただ気持ちよくしてればいい。
「俺たちは、きっと、言葉以上に理解しあえる。きみとのバトルで、確信した」
身を引っくり返す。やはり後ろの方が深く入る。ダイゴは目をチカチカさせて自分がいまどのような体勢になっているかすっかり分からなくなっていた。開ききった瞳孔は焦点が合っていないことから、意識がトぶ寸前ということ。もはや喘ぎ声か分からない声を上げて、甘い嬌声はつんざいた。
静かなトクサネで、倒錯的に。
「セックスでも一緒だ」
「ッ……その、言葉は、いまッひ、きょ、」
「共有したいんだろ。なら」
伝えたいこと。求めているのはこれだけだ。
「見せてくれ」
きみの、隠したいことすべて。
「ッ……ぁ」
ぐっ、と、片手でひとまとめにした両手を腰にくくるように押さえつける。
これで、抵抗は一切できない。
「うっ……ウッ……ふッ……!」
頭を沈ませている枕から、くぐもった声が聞こえる。呼吸はしにくいだろうし、だけど、気持ちいいしで。わけがわからないだろう。
でもそれでいいんだ。受け止めてくれ。
「ッ……わた、る」
ダイゴが、生理的に出た涙でぐしょぐしょの瞳を枕から見せてきた。充血していた目は、まるで殺意の固まりのような目だった。
死にかけのときは、セックスだろうがなんだろうがみんなそういう目をするらしい。
「ッあ……、イ、く……ッ」
足がビクビクッと震えてきた。熱いなにかが脳から脊髄へ流れ落ちている。腰にとんとん来る痺れに耐えるべく、ダイゴをギュッと抱きしめた。
中がぶるぶる震えた。白くはじける。バチバチと。
「イく……ッむッ……」
ゆっくりと、そのまま快感の熱を漏らして、そしてガクッと二人してベッドに沈んだ。
汗も、涙も、びしょびしょに濡れた身体はくたりと力をなくしていく。
汗で乱れた前髪をかきあげた。ふぅ、と息をつくと、ダイゴの顔が振り返った。
その赤く熟れた唇に、むさぼるようにキスをすると。
「……は、……はは」
ようやく、彼は優しく笑った。なにか、納得したかのように。
ゆっくりと、ダイゴの中に入れていたそれをずるりと抜く。
喉が渇いて二人分の水を取りに起き上がろうとしたが、ダイゴが俺の腕を掴んでぐい、っと引っ張ってきた。少しくたびれた体力は、容易くダイゴの上に倒れてしまう。ドサッ、と胸の上に落ちると、彼は俺の背中にかかとをとん、とぶつけてきて催促した。
「……諦めるんだ」
くす、と笑ってダイゴにそう宣戦布告みたいなものを投げた俺は、起き上がって改めて彼を見下ろした。
その言葉に目を見開くと、ダイゴはゆるゆると顔を蕩けさせた。なにか思うことがあるらしい。
腰を優しく撫でる。美しい皮膚だ。美しい姿は、完璧と言っても過言ではない。
うなじにある火傷跡はいつか消えるだろう。ミニリュウがべろりと皮を脱ぐように。きっと何年か先の彼の肌は、俺の知らないものになっているかもしれない。
黙ったまま肌を味わえば、そのうちに期待した彼は密着しようと腹筋の力だけを使って、俺に抱きついてきた。
俺も優しくその身体を受け止める。
「ワタル」
肩にうずめて息を吐いた。とても熱い。
熱くて、気持ちよかった。きみの声が鼓膜を揺さぶって、体温は俺の身体に溶けていくようだった。
前髪は汗でしんなり濡れていた。雨の余韻は消えている。
「ぼく、きみに言ったよね。きみの正義は、諸刃の刃だ」
重い頭を首でゆっくり持ち上げる。
「だけど、ぼくなら、……ぼくは、」
瞳はやさしい。慈しみ溢れた色で。
「きみのことを……」
言おうとした言葉をダイゴは急に口を噤んだ。頬にそ、っと手で触れると、気持ちよさそうに手のしわに擦り付けてきて、俺を見つめてくる。
「すべて」
その手を手で絡めて、促すように、するする骨の筋を撫でる。
続けてくれ。そしたらそのまま、
「知っていくよ──」
深く、キスをするから。言葉ごと飲み込むように。
